俳句のてほどき
今日の朝、NHK教育テレビの俳句の番組、お題が「冬の星」でした。 見ているうちにある光景が思い出されました。 ブログ仲間の俊介さんが毎週末お籠りする三浦半島最南端、宮川フィッシャリーナの風景です。 凍える夜に見えたという北斗七星。 番組をみているうちに自分にもできそうな気がして、一句書いてみたのがこれです。
夜の寝覚め、ハッチ越し仰ぐ 寒北斗
そして今日の昼下がり、八百屋の店先でふきのとうをみつけ、さっそく買い求め、好物のふきのとう味噌を作りました。 ふきのとうを茹でる頃から家中に春の香がただよいました。 そこで・・
蕗味噌を 煮る湯気満る 北厨房
夕飯時にお鍋を囲みながら、IRENEさんに披露。 IRENEさんはお嫁にいってから彼女の父親に俳句の手ほどきを受けたと聞きます。
私 「テレビを見ていたら、できそうな気がしたの。 ひねってみました。どう?」
母 「うーん・・・・」
私 「いいでしょ?」
母 「混んでるわよ、言葉が。 ふたつともよ。 ごちゃごちゃして、きゅうくつよ。」
私 「はぁ・・」
母 「『寒北斗』で夜ってわかってるんだから、最初の「夜の」は要らないでしょ。」
私 「はい。」
母 「『ハッチ越し』も固いとおもうの。」
私 「でも、ハッチは入れないとヨットだってわからないからゆずれない。」
母 「蕗味噌も、『湯気』があるから『煮る』はしつこいでしょ。」
私 「ほんとね。」
母 「『北厨房』って何?」
私 「北側にある寒い台所に湯気がたくさんあがっているっていうのを書きたかったの。 『だいどころ』じゃ音が奇麗じゃないでしょう? なんかいい言葉ないか教えて・・」
その昔、母IRENEさんはお嫁に行ったころ俳句を始めた事で、それまで疎遠だった自分の父親とたくさん手紙を交わしたそうです。 紙に自分の詠んだ句をびっしり書いて送ると丁寧に添削して返してくれたと聞きました。
母 「もう、ほとんど全部よ。 あの言葉は要らない、これはうるさいとかって。 『たくさん書いてくうちに上手くなるよ』ってね。」
私たちもお鍋を前になんだかんだと・・・・私の二つの句はこうなりました。
酔い覚めの ハッチ開ければ 寒北斗
蕗味噌の 湯気みなぎりて 北厨(きたくりや)
(編集者注:母の唯一の俳句集を昨年、当ブログで披露しました。左側の「カテゴリー」の「母の手記より」がそれです。)