TAHITI 2014-2015(その1)

この歳になるとやりたいこと、しなければならないことを先延ばしすることはもうしたくない。 それに今年はお正月もないし・・と周囲に宣言し、年末年始をウインドバレーセーリングスクールのタヒチでのクルージングに参加してきました。

スキッパーのボブさんはこの時期をタヒチですごすようになって約7年たつそうです。 そのぶん、選りすぐりの泊地を選んで下さいました。
そのメインディッシュはボラボラ島です。 今回ヨットを借りたTahiti Yacht Charterのあるライアテア島からボラボラ島へ向かいました。 その道中でボブさんが内海(ラグーン)のなりたちを説明してくださいました。元地学部のKOINOBORIにとっては興味深いお話しです。
島の誕生初期は海底火山の噴火によってマグマが盛り上がり、海上に陸地ができ、その周辺(島のスソ)の浅瀬にサンゴ礁が発生します。 タヒチ島やモーレア島、ハワイ島などが、この段階に該当します。 人間で言えば、まだ若い島で、島の周辺のサンゴ礁は「裾礁(きょしょう)」といいます。
次の段階では陸地となっている本島がその重量のために徐々に沈降し、その代わりに島の周囲に広がっていた珊瑚礁がさらに発達します。島が沈む速さより珊瑚礁の成長が早いため、海上に陸地として現れてきます。 本島の周囲にドーナツのようなサンゴでできた陸地の輪、すなわち堡礁(ほしょう)が連なり、その間にラグーン(礁湖)があるという段階です。この段階の典型がボラボラ島です。
やがて本島が完全に水面下に沈降し、島の周囲に広がっていた珊瑚礁だけが海上にドーナツのように残っているのがランギロア島やモルディブ、ツバイ、トラック環礁などが該当します。
船舶で外海からラグーンに入るにはリーフの切れ目(パス)を通ります。 パスには意図的に人間が作ったものと自然にできたものがあります。 現在では外海からでもその位置が分かるように灯標などで示されていますが、一度見逃すとまた島を一周しなければならず、内海に入るのも容易ではなかったといいます。
左のボラボラ島の全景写真を見ると内海(ラグーン)のグラデーションがとびきり美しくそのエリアも広いことがわかります。 そして中央に位置する山は下から見ると円柱型で典型的な溶岩ドームの型を示しています。

東からの貿易風は山の側面に当たり、山頂に分厚い雲をいつも形成しています。 島は原生のバナナ、ココナッツ等に豊かに覆われ山頂からたなびく雲の下面はその色を反射して緑色に輝くほどなのです。 緑濃い山々と青のグラデーションに染まる海・・・現在、地球上で、これだけパーフェクトで美しい形をした堡礁(ほしょう)という段階の島は他にないそうです。(注:二枚目の写真の雲の左側下面がうっすら緑色なのが見えますか?)

私たちのヨットは、ボラボラ島では1日目は島の西部、2日目は島の北東部、3日目は南東部と3泊しました。 移動にかかる距離は短いものですが、総じて浅いため、場所によっては狭いブイの間をすり抜けた後、浅瀬を避けてV型に変針するなど、針の穴を通るようにピリピリと緊張する事もありました。 そして日本ではほとんどすることがないアンカリング。 アンカーも鎖も上から確認できるほど透明な海です。船の動きと鎖の出し入れを視覚と感覚で覚えた事で良いトレーニングができたと思います。(つづく)