TAHITI 2014-2015(その3)憧れの「パンの実」・タヒチ島


年末年始のタヒチ旅行でクルージングを終え、チャーター会社にヨットを返却し、私たちはライアテア島からタヒチ島へ空路移動しました。 観光客の多くはパペーテの街で買い物や名所巡りをするようです。 翌日はレンタカーを利用してタヒチ島の海沿いの道をたどってみました。 

タヒチ島はまるでひょっこりひょうたん島のような形をしています。大きい方はパペーテのあるタヒチ・ヌイ(ヌイは「大きい」の意味)。小さい方はタヒチ・イティ(イティは「小さい」の意味)といいます。 タヒチ・ヌイの方は島を一周できる舗装道路がありますが、イティの方は途中で途切れてしまって一周はできません。
印象的だったのは民家はトタン屋根の平屋で雨風がしのげる程度の素朴な作りですが、数キロにひとつはあるカトリック教会は壁のペンキも真新しく、ステンドグラスがあったり、立派なドアがついていたりと、とても管理が行き届いているのです。 タヒチの人々にとって、教会はとても大切な場所なのでしょう。

そして火山でできた島といえども、土の地層は厚く豊かなのでしょうか、芋や青菜の畑も多く見られました。 そしていたるところに出没する野生のニワトリ!
昼時になって、タヒチ・イティに入ったので食事をするところがなく、グーグルマップに出てきた一軒しかないレストランを探してずいぶん歩いてしまいました。 
注文した料理が出来るまでに、店のお姉さんが冷えたビールとバゲットと見慣れぬ白い物体を載せたお皿を運んできてくれました。 その白いフカフカした物体はパンの実だったのです。
子供の頃に読んだ本で、無人島での食糧として描かれていたパンの実です。 「わぁ!」と歓声をあげる私たちを店のお姉さんはちょっと肩をすくめ、恥ずかしそうにしてました。「なあに、こんなものが珍しいの?」とでも言うのでしょうか。

私が本で読んだのは、焼くとパンの味にそっくりだというのです。 パンの実を薄く切って重ねてある挿絵までしっかり覚えていて、一度は食べてみたいとずっとずっと思っていました。
「焼くとトーストになるのかな?」 お皿の上のパンの実は皮をむいて蒸してありました。
食べてみるとふかふかしていて、味はサツマイモをもっと淡白にしたような味です。バタを塗って食べても合うでしょう。オーロラソースみたいなものが添えられていました。
他の食べ物の味を邪魔しないし、結構美味しい・・・・!


それから私たちのパンの実談義が始まりました。 「パンの実は主食として立派になりたつ、何故この植物をもっと広めないのか?」「災害や飢饉にも役立つのではないか?」「日本に輸入して広めたらどうだろうか?」「乾燥させたらどうかしら?」「飢饉には芋よりパンの実の方がいい・・」
すっかりパンの実ファンになってしまいました。 私といえば、次回はパンの実を薄切りしてトースターで焼いてみたい・・と子供の頃の夢想がまた深くなったのでした。

上:パンの実

上:タヒチ・イティに見つけた食堂


おしまい