『私の俳句雑記』 by IRENE (その8)

今から何年も前、母が原稿用紙に書き自室にうちすててあったものを私がワープロに収めました。 IRENEさんの承諾を得たので8回にわけてここにご紹介しています。 今日は最終回です。
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実家の父は弟(YASU:管理者注)の家族と同居していたので、日常は困らなかったし、弟の家内もよくして下さっていたので心配なかったが、連れ合いに先立たれた寂しさは如何ともし難かった。  殆ど病気らしいものもせずにいたが、昭和50年の11月、一週間の入院で、義母とおなじく宮内庁病院で亡くなった。  どういう風に一生を終わるかということは、晩年の父にとって、一番考えたことであったのと、父がこの病院を気に入って居たので、父はこれで満足だったと思っている。
   山茶花の 三日を父の 床に侍し
   山茶花の 家に黙して 帰りけり
   山茶花を 掃きて喪の家 清めつつ
   山茶花の 散る時を得し しぐれかな

父との別れのつもりで、上の四句を墨書して、お棺の中に入れた。
葬儀は若い頃から好きだった霊南坂教会で、司式は母と同じく飯清牧師であった。霊南坂教会はその後建て直され、当時の面影はないが、一階に昔の柱が、二階の小部屋に古いオルガンが残っている。
 
父が亡くなってから私は叉、句を作らなくなった。
それでも昭和58年のお正月、今の家で作った句がノートに残っている。

   マンションの 小さき松を 納めけり
   室咲きを 一鉢買いて つつがなし
   風花や 遠き娘の 初便り
                       おわり


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