62年前のウェディングケーキ

母が70年前にアメリカから持って帰ったBoston Cooking School Cook Book のレシピに基づき、母の孫のReiReiが作ったシュガークッキーを前に。
ReiRei 「ババが良く作ったレシピのページにはシミがあるからすぐわかったワ。 このクッキーも良く作ったみたいだった。」
母 「ケーキやクッキーは良くこさえたのよ。日本に帰ってからもね。中でも終戦間もない頃、ジジの妹の嫁ぎ先の弟さんがお嫁さんをもらうことになってね、戦後の混乱期だったから結婚式はお家ですることになったの。ウェディングケーキを作ってくれって、ババたのまれちゃったの。」 
「材料の小麦粉もバタもお砂糖も殆ど無い頃でしょ。配給品を貯めたり、人に探してもらったりして大変だったの。ガスも昼間はチョロとしか出ないので、勢い良く出る真夜中の2時間位の間に焼くのよ。三段のケーキを3日に分けて一段ずつ作ったの。オーブンはガスコンロの上に置いて使うやつよ。ケーキの外側はアイシングで飾るんだけど、足りないから造花を挿して飾ったの。一番上の新郎新婦のお人形もないからクリスマスオーナメントのベルを針金で輪を作ってぶら下げてね。ベルにひもを付けて、引っ張るとリンリンと鳴らせるようにして・・」
「式を行うお宅にケーキを運ぶ役目の人は、壊しちゃいけないってそれは大変だったらしいわ。お座敷にケーキを置いたら、ジジその前から動かないのよ。それを見たお客さんが『君はいいなぁ、細君によくこういうもの作ってもらってるのかい?』『いいえ、僕も初めてみるんですよ!』って。」
私 「新郎新婦よりお客の目はケーキに釘付けだったって聞いたことあるわ。」
母 「とにかくお父様(母の舅)がとても褒めてくださって・・・それが嬉しくってね。」

古〜いアルバムをごそごそやって出てきましたケーキの写真。
戦後から間もなく、先の見えない時代だったからこそ、このケーキのもたらした喜びと感動が伝わってきます。